建設現場ではAIの導入が始まっています。具体的にどのようなメリットを期待できるのでしょうか。ここでは、AIを導入するメリットとAIを導入した事例を紹介しています。
AI、IoTを活用することにより単純作業を自動化できます。ポイントは、人では難しい作業であっても自動化できる可能性があることです。自動化が進めば、人手不足の解消につながるでしょう。人手不足で案件を受注できない企業などは、メリットを実感しやすいと考えられます。
熟練技術者の高齢化による生産性の低下が懸念されています。AI、ICTの活用により、熟練技術者が保有する技能を継承することも期待されています。現場における生産性の維持・向上につながるでしょう。
建設現場で重視されているのが安全性です。AIを活用して安全性を高める取り組みも行われています。具体的な取り組みはさまざまですが、例としてAIが作業現場で人体を検知する、AIが作業員のルール順守を確認するなどがあげられます。安全性を高められる可能性がある点も、建設現場へAIを導入するメリットと考えられます。
鹿島建設は「作業の半分はロボットと」などのコンセプトを掲げる「鹿島スマート生産ビジョン」を策定しAIを活用しています。取り組みのひとつとしてあげられるのが、柱の全周溶接などを可能にした汎用可搬型溶接ロボットの導入です。これにより、人では難しかった上向き溶接を行えるようになり、安全性の向上、溶接品質の向上、溶接作業量の平準化などにつながっています。
大成建設は、建設機械の無人化・自動化技術を開発するため、建設機械搭載型AIを用いて人体を高精度に検知するシステムを開発しました。3,000時間に及ぶ実証実験で、人体検知・緊急停止・警報機能の自動作動状況ならびに安全性を確認しています。ポイントは、建設機械搭載型AIを用いて、人体検知(カメラ連動)と建機動作を制御していることです。人体と誤検知しやすい建築資材のデータベースをもとに、施工環境に合わせたシステムを構築できる点も見逃せません。大成建設は、同システムなどを活用して現場の安全性確保に努めています。
竹中工務店は、ドローンとAIを活用して外壁タイルの浮きを確認する「スマートタイルセイバー(TM)」を開発しました。遠赤外線の熱画像でタイル1枚1枚の浮きを自動判定します。遠赤外線が届きにくい箇所はドローンを活用する点がポイントです。強みは、作業者を問わず同じ結果がでることと補修タイルの枚数を高精度に算定できることといえるでしょう。作業効率の見直し、作業品質の向上につながっている事例です。