土木建築に適した遠隔臨場ツールのWebメディア│臨場新聞 » 建設業界の長期ビジョンや遠隔臨場に関する基礎知識まとめ » 遠隔臨場の導入コスト

遠隔臨場の導入コスト

遠隔臨場を実施するうえで理解しておきたいのが導入コストです。具体的にどのような取り決めになっているのでしょうか。ここでは、コストに関するルールと関連する補助金について解説しています。

費用負担は原則として発注者指定型となる

令和4年3月に国土交通省が発表した資料によると、費用負担は原則「すべて発注者指定型」で実施することになっています。発注者指定型の場合は、試行にかかる費用を技術管理費に積上げ計上します。つまり、発注者が技術管理費として費用を負担すると考えられます。

ちなみに、遠隔臨場の対象工事は、令和4年4月1日以降に発注された、令和4年4月1日時点で遠隔臨場の対象工種がある工事です。ただし、通信環境が整わないなど、効率性を伴わない現場は除きます。

※参照元:国土交通省「遠隔臨場 実施要領の策定のポイント」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001473363.pdf

受注者希望型の場合はコストを考える必要がある

試行工事が受注者希望型の場合は、費用負担のルールが異なります。具体的には、試行にかかる費用は「技術管理費に含む」となります。つまり、そのすべてを受注者が負担しなければなりません。導入コストの例として、撮影機器・モニター機器の賃料、撮影機器の設置費などがあげられます。受注希望型の場合は、導入コストについて検討しておくほうがよいでしょう。

※参照元:国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」 https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000803059.pdf

IT導入補助金の対象となる場合がある

遠隔臨場に関連する製品は、IT導入補助金の対象になることがあります。IT導入補助金は、中小企業または小規模事業者を対象とする制度です。A類型とB類型にわかれる通常枠、サイバーリスク低減を目指すセキュリティ対策推進枠、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトの導入にかかるコストの一部を補助するデジタル化基盤導入枠で構成されます。通常枠の目的は、企業の課題解決につながるITツールの導入にかかるコストの一部を補助することで、業務の効率化をサポートすることです。過去には、現場に特化したビデオ通話アプリが通常枠の対象になっています。

※参照元:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000068726.html

通常枠の補助率は2分の1、補助額は最大450万円です。A類型の補助額は30~150万円未満、B類型の補助額は150~450万円以下となっています。B類型のほうが補助額は大きいですが、申請にあたり3年間の事業計画を策定し実行しなければなりません。本事業計画では、申請時に賃上げ計画を策定し従業員に表明すること、全従業員と役員に支払った給与などを1.5%以上増加させること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすることなどが求められます。補助額が大きい分だけ、求められる要件は多くなります。

※参照元:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局「令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規程 通常枠」https://www.it-hojo.jp/r03/doc/pdf/r3_application_rules.pdf

IT導入補助金の申請手続きは、IT導入支援事業者(ITベンダー・サービス事業者)と商談を進めながら行います。したがって、申請前にIT導入支援業者とITツールの選定が必要です。具体的には、事業計画を策定してから申請します。発注・契約・支払を行うのは、交付決定の通知を受けてからです。通知の前にこれらを行うと、補助金の交付を受けられません。補助事業が終了したら、契約・支払などがわかる証憑を提出します。以上を完了すると補助金が交付(補助金額確認後)されます。補助金交付後は、定められた期間内にIT導入支援事業者の確認を得たうえで、事業実施効果報告を行わなければなりません。