ここでは、遠隔臨場の大まかな実施手順を解説いたします。
受発注者で、遠隔臨場の適用範囲について協議を行います。ケースによっては、現場で立ち合いを求められることもあるため詳細を確認しておかなければなりません。遠隔臨場を適用可となれば施工計画書を作成します。記載内容は次の通りです。
これらを記載した施工計画書・添付書類を作成して監督職員の確認を受けます。「適用の種別」は「段階確認」「材料確認」「立ち合い」の中から適用する項目、「使用機器と仕様」は記録に用いるWebカメラの機器と仕様、「配信」に使用する機器と仕様、「段階確認などの実施」は「段階確認」「材料確認」「立ち合い」の実施方法を記載します。基本的には、いつ、どのように遠隔臨場を実施するか記載すると考えておけばよいでしょう。
施工計画書を作成したら、機器の準備へと進みます。ここでいう機器は、次の3種類を指します。
具体的には、動画を撮影・記録できるウェラブルカメラ、撮影した動画を配信するWeb会議システムを指します。国土交通省が令和4年3月に発表している「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」では、ウェラブルカメラやWeb会議システムは受注者が手配・設置するものとなっています。機器の準備を行うのは、原則として受注者です。ただし、発注者がこれらを用意している場合は除きます(監督職員と協議して決定)。また、ウェラブルカメラやWeb会議システムは、確認行為を実施できるものを選定しなければなりません。一定の基準(参考数値)を考慮しながら、監督職員を協議して選定します。
機器の準備を完了したら遠隔臨場を実施します。遠隔臨場の実施は「事前準備」と「実施および記録と保存」にわかれます。
「事前準備」で受注者は、監督職員へ実施の実施時間・実施箇所などについて確認を行います。また、監督職員の立ち合いが必要な場合は、立ち合い依頼書を所定の様式で提出しなければなりません。監督・立ち合いの時間は、原則として監督職員の勤務時間扱いとされます。
「実施および記録と保存」で受注者は、使用する機器、システムの確認を行うとともに事前に監督職員へ現場周辺の状況を伝えます。周辺の状況を把握した監督職員は、その旨を受注者へ伝えます。以上を終えたら「工事名」「工種」「確認内容」などを伝えたうえで監督職員から実施項目に関する確認を得ます(実施結果の確認も)。遠隔臨場の映像・音声を配信するとともに記録・保存します。