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リモートで土木業や建築業をサポートする仕組みとは

人手不足解消や業務効率改善などの課題を抱える土木業・建設業では、解決方法の一つとして遠隔臨場の導入を検討する企業が増えています。事務所からリモートで現場管理できる遠隔臨場にはさまざまなメリットがあり、国土交通省・厚生労働省などの関係省庁も導入を推進しています。

導入のハードルとコストが比較的低いことも、遠隔臨場を採用する企業が増えている理由の一つです。特別なWeb関連の知識を覚えてシステムを構築しなくても、遠隔臨場は導入できます。

Webやリモートより現場をサポートする遠隔臨場とは

遠隔臨場は、ウェアラブルカメラとインターネット会議システムを活用し、現地に行かず現場確認をする方法です。

ウェアラブルカメラとは手振れ補正などの機能を備えた小型撮影機器のことで、現場作業員が装着してWeb経由で現場の映像を送信します。国土交通省の建設現場の遠隔臨場に関する試行要領では、「段階確認」「材料確認」「立会い」を対象としています。

上記の確認業務は通常、発注者や監督職員が直接臨場して実施するものです。しかしウェアラブルカメラとWeb会議システムで十分な確認が取れた場合、遠隔臨場が認められています。

ウェアラブルカメラも遠隔臨場向けの製品が登場しており、ヘルメットや体に装着して作業・確認業務を妨げないよう工夫されています。

リモート、テレワークより現場をサポートするメリット

遠隔臨場でリモート現場サポートができるようになると、次のようにさまざまなメリットが生まれます。

移動ロスの軽減による業務効率向上

遠隔臨場でリモート現場管理できると、現地への移動ロスがなくなり業務効率向上が期待できます。

土木・建設業では、事務所と現場の往復が監督職員の負担になっているケースが少なくありません。仮に片道1時間の現場で遠隔臨場を導入すれば、単純計算で1日2時間のロスを削減できます。リモートワークなら移動疲れもありませんので、結果的に他の業務効率向上も期待できます。

浮いた時間で書類作成などをこなすことができれば、残業がなくなりムダなコスト削減にもつながるでしょう。

人手不足解消

遠隔臨場で業務効率が改善すれば、土木・建築業界が抱える人手不足解消にもつながります。

時間の余裕が生まれれば一人で担当できる現場数が増え、少ない人数で無理のない業務を行う事ができるでしょう。また残業が減り業界全体で労働環境が改善すれば、新しい人材確保にもつながります。将来的には自宅からリモートで現場管理し、必要な時だけ出社する時代が来るかもしれません。

新しい働き方への対応で「キツイ・汚い・危険」というイメージを持たれている若い世代の意識が変わればば、応募・採用が増えて人材の高齢化対策も期待できます。

事故防止&安全性向上

現地に直接行かず効率的に現場管理できる遠隔臨場は、事故防止や安全性向上などのメリットも期待できます。

遠隔臨場はリアルタイムに現地の状況が分かり、直接現地に行くよりこまめに現場管理することができます。移動の負担が無いことも現場管理精度の向上につながり、伝達ミスや行き違いによる事故防止につながるのです。

作業員が装着するウェアラブルカメラ以外に常設カメラを設置すれば、資材の盗難・台風など自然現象による事故も早期察知・対策できます。

現場経験の共有

リモート現場管理を録画できる遠隔臨場システムを活用すれば、経験や知識を社内で共有してスタッフの成長を促進できるのも意外なメリットです。

今までの土木・建築業では、先輩社員に同行して現場経験を積むのが一般的でした。しかし研修期間が終わったらそのような勉強の機会がないため、成長・育成は属人的になりがちです。遠隔臨場ならベテラン社員の現場管理を動画で共有できるため、勉強の機会が増えてスキルの平準化にもつながります。

経験の浅い現場職員をベテランがサポートするなど、教育体制の整備にもなるでしょう。

国土交通省が推進しているリモートサポート(遠隔臨場)導入されている企業が増加

土木・建築業界のICT化

国土交通省による遠隔臨場の導入推進は、ICT活用によって魅力的な現場を作る「i-Construction(アイ・コンストラクション)」というプロジェクトの一環でもあります。

ICTは「情報通信技術」の略称で、WEB技術を活用してコミュニケーションの質や生産性向上をすることを意味します。具体的にはドローンを活用した3D測量、自動制御建機の導入などを実現し、土木・建築業界の魅力を向上することが目的です。

遠隔臨場はこうしたICT化の一環として国が主体となって推進しているため、導入企業が増えているのです。

導入のハードルが低い

遠隔臨場は少ない機材と簡単なシステムで構成でき、コスト・技術面のハードルが低いことも導入企業が増えている一因です。

前述した国土交通省の施行要領案では、動画撮影用カメラや通信環境について次の仕様を明記しています。

上記のカメラ性能・通信環境はそれほど高性能なわけではなく、一般的なスマートフォンでもクリアできることが多いです。業務用のタブレットやスマートフォンがあれば、いったん遠隔臨場を試してみて導入を検討することもできるのです。

本格的に遠隔臨場を導入する場合は手振れ補正や作業を妨げない装着マウントなどが必要になりますが、専用カメラをリリースするメーカーも増えています。遠隔臨場の導入を相談しやすい環境も整ってきています。

遠隔臨場ツール・システム
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まとめ

Web経由でリモート現場管理ができる遠隔臨場は、建築・土木業界の課題解決方法として多くの企業が注目しています。人手不足解消・従業員の高齢化・働き方改革への対応など、遠隔臨場を一つの選択肢として検討してみて下さい。