九州地方整備局では遠隔臨場についてどのようなアプローチを行っているのかをまとめています。
2020年、九州地方整備局は新型コロナウィルス対策の一環として、当面の間すべての工事において、発注者指定型による遠隔臨場の試行対象とすることを明らかにしました。費用は全額発注者負担としますが、試行しない場合でも罰則は設けないとのこと。発表前の時点で契約している工事であっても、受注主側からの申し出があれば遠隔臨場を試行できるようにするとのことです。
2020年、九州地方整備局防災情報課から遠隔臨場についてのレポートが作成されました。
メリット、導入の背景といった点は他の地域とほぼ同様のものとなっているのですが、九州地方整備局独自のデータとして、九州管内で行われた遠隔臨場の資機材にかかる費用は最高で月額33万円、平均で月額8万円とのことです。
また、電波の入りにくい現場の場合、データ通信が行えなくなることから、現場立会回数を増やさざるを得ず、結局は遠隔臨場よりも従来通り、監督職員が現場に立ち会った方が安価に抑えられるとの判断や、新たな資機材を操作するにあたって、新たな人員を確保しなければならないとの懸念から遠隔臨場を見送っている現場もあることが報告されています。
特に年齢層の高い建設現場では人材確保が難しいことから、導入がなかなか進まない点がレポートされています。
九州地方整備局では、遠隔臨場についてはまだまだ進んでいるとは言えないのが実情です。その理由として、遠隔臨場そのものが問題となっているのではなく、遠隔臨場を扱える人員の確保が課題となっています。
遠隔臨場は大きな可能性を秘めている一方で、その利便性を享受するためには正しく扱ってこそです。そのための人材をどのように確保するのか、九州地方整備の今後の課題と考えてよいでしょう。